肝内結石とはどんな病気か

 肝内結石とは肝臓のなかの胆管(たんかん)に結石ができる病気で、欧米に比べ日本を含めた東アジアで多くみられます。肝内結石の頻度は全胆石症(たんせきしょう)の2%程度と少ないのですが、胆管炎を繰り返したり、肝膿瘍(かんのうよう)や敗血症(はいけつしょう)などの重症の感染を引き起こしたりすることがあり、長年の胆汁(たんじゅう)のうっ滞や反復する炎症のため、肝硬変や肝不全に至ることがあります。
 また、完治自体が難しく、結石を除去しても再発を繰り返すことから、難治性の病気とされています。さらに、肝内結石の方の4〜8%に胆管がんが発生するといわれています。

原因は何か

 なぜ肝内結石ができるかはいまだに不明です。しかし日本においては、患者さんの数が地域によって大きく異なり、また全体の患者さんの数も減少傾向にあることから、衛生状態や食生活の関与が考えられています。先天性や遺伝性因子の関与はほとんどないといわれています。
 肝内結石の80%はビリルビンカルシウム系結石で、胆汁中の細菌が結石の生成に大きく関係していると考えられます。コレステロール系結石の頻度は5%程度で、脂質異常症高脂血症)とはあまり関係がないとされています。

症状の現れ方

 よくみられる症状は発熱や腹痛です。また黄疸(おうだん)になることもあります。肝内結石の方のうち80%の方の胆汁中には細菌が常在しており、結石により胆汁の流れが妨げられて胆管が炎症・感染を起こします。
 一方、健診などで行った腹部超音波検査などで偶然発見される、無症状の方もいます。

検査と診断

 腹部超音波検査で診断可能です。しかし胆嚢(たんのう)や肝外胆管と異なり、肝内胆管は木の枝のように入り組んで走行・合流しています。そのため結石がどの肝内胆管にあるのか、胆管が細くなっていたり太くなっていたりする場所はないか、肝臓が縮んでいないか、などを評価する必要があります。そのための検査としては、造影腹部CTや磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)があります。
 さらには治療を前提として、経皮経肝的胆道造影(PTC)や内視鏡的逆行性胆膵管造影(ERCP)を行うこともあります。それぞれの検査の詳細は、胆石症を参照してください。

治療の方法

 肝内結石がある部分の肝臓を外科的に切除する方法が最もよく行われています。またPTCの手技を応用して、開腹せずに皮膚から肝臓を通して胆管のなかに内視鏡(胆道鏡)を入れて結石を取り出す治療も行われています。その際に、胆道鏡で石を見ながら電気水圧波で細かく砕くこともあります。さらにERCPの手技を利用して、十二指腸から肝内結石を取り出す治療も一部の専門施設で行われています。
 現在のところ肝内結石に有効な治療薬はありませんが、ウルソデオキシコール酸や高脂血症治療薬や漢方薬が投与されることがあります。
 無症状でも、肝外胆管に近い比較的太い肝内胆管にある結石は治療対象になることがあります。しかし肝臓の端のほうの細い胆管にある結石については、治療せずに経過観察をするという考えもあります。その場合、胆管に細いところがなく、明らかな腫瘍もない、ということを正確に診断できていることが前提となります。

肝内結石に気づいたらどうする

 胆嚢結石や胆管結石と比べて、肝内結石の診断や治療法の選択にはかなりの知識、経験、そして診断・治療技術を要します。また肝内結石に合併しうる胆管がんの診断は、各種画像検査法が進歩した現在でもなお極めて困難なことがあります。さらに治療後でも約20%の方が再発しますので、長期的に医療機関と付き合うことになります。
 以上のことから、肝内結石と診断されたら専門施設を一度は受診することが望まれます。